(4595)ミズホメディーの株価を日足チャートに基づくテクニカル視点で観測し、これまでの価格推移を分析すると共に、今後の投資戦略を検討します。
※本記事はあくまで筆者の個人的な認識・感想を文字におこしただけのものであり、読者への助言や売買の推奨を意図するものではありません。特定の情報ソースを鵜呑みにして思考停止で金融商品を売買しないでください。投資判断は全て自己責任でお願いします。
結論(簡潔に)
打診買いをしても良い時期と考えます。100日移動平均線をサポートとして反発を試みています。小さいロットで逆指値をタイトに設定する前提で、短期的、場合によっては長期的な反発が期待できると考えます。しかしながら、株価が大きく下落した一方で信用買い残が積み上がっています。反発したとしても、上値が重いでしょう。市場全体的に株価の調整や信用買いの整理が進んでいますが、本銘柄に関しては、わずか1か月で40%下落しています。業績が好調な本銘柄に対して今からの空売りはリスキーです。どちらのポジションを立てるにしても、ほどほどの利益を得たらすぐに利益確定(損切)する迅速な立ち回りが求められる場面です。
企業概要
会社名 | ミズホメディー |
市場 | 東証2 |
企業コード | 4595 |
業種 | 医薬品 |
時価総額(億円) | 241.0 |
発行式株式数(株) | 9,525,600 |
PER(倍) | 10.5 |
信用倍率(倍) | 37.96 |
テーマ | 診断薬 医療・医薬品 インフルエンザ関連 コロナウイルス COVID-19 ノロウイルス対策 不妊治療 少子化対策 衛生 |
概要 | 体外診断用医薬品の開発・製造・販売。ウイルス検査や妊娠検査薬が主力。 |
※情報は2021年5月17日時点のものになります。
考察
短期的、場合によっては長期的な反発が期待できると考える根拠を列挙します。
移動平均線によるサポート(25日、100日および200日)
青色の丸に着目すると、この銘柄においては25日移動平均線が大きな意味を持っていることが分かります。25日移動平均線は、上昇トレンドにおいてはサポート、下降トレンドにおいてはレジスタンスとして機能していることが分かります。
また紫色の丸に着目すると、200日移動平均線もまた大きな意味を持っていると考えられます。2020年1月には、まさに下落トレンドへ転換するという場面で、このサポートで一度反転しています。同年8月の劇的な株価高騰時には、今度はこのラインで強力なレジスタンスとして機能し、痛烈な跳ね返しをくらっています。これらから、200日移動平均線は、大きなトレンド転換の場面で強力なサポート、あるいはレジスタンスとして機能すると考えられます。
薄紫の丸は、100日移動平均線周辺でのイベントを示しています。現在は100日移動平均線にタッチしたところで一度踏みとどまり、反発を試みています。100日移動平均線も一般的にはメジャーなインジケーターであり、ここでのトレンド転換を期待するトレーダーが多く存在すると考えられます。しかしながら、このインジケーターがサポートまたはレジスタンスとして明確なパフォーマンスを示した実績はここ数年ではありません。従って、今回の暴落を食い止めるサポートとして機能するという意見には疑問符がつきます。
フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントを用いて、株価反転のタイミングについて考察します。
一般的に、フィボナッチ・リトレースメントにおける38.2%のラインは強いレジスタンスやサポートになる傾向があります。しかし、今回はそのサポートラインを一息にブレイクし、株価は61.8%のラインできりもみし始めました。このラインは2021年2月から3月にかけての株価上昇時に明確なサポートとして機能した実績があり、今回もこのラインでの暴落の停止と反転が期待できます。
RSI
RSIを用いて、株価反転のタイミングについて考察します。
過去2年間のRSIと株価の推移を見てみると、RSIが30タッチするか30を割り込むと、その後株価が上昇に転ずる傾向にあることが分かります。この現象は2年間の内に4回起きており、ある程度の信頼性がある情報と言えそうです。現在のRSIは、ちょうど30を割り込んだところになります。20を割り込んでから株価が上昇に転じたケースもあり、今回の暴落においても、今日明日で反転するとは言えません。しかし、株価が近日中に反転すると考えるのが妥当でしょう。
極めて良好なファンダメンタルズ
株探より引用
そもそも、ミズホメディーの業績は絶好調です。2021年5月の決算発表では、2021年期は過去最高益を大幅に上回る見通しを出しています。特に修正一株益に関しては過去最高値の約2.5倍を見込んでいます。需給の要素を排した場合のプライマリトレンドは上方向と見るのが妥当であり、年単位の長期投資家には、現在の暴落を絶好の買い場と捉えている人も多いでしょう。
小ロットかつ逆指値がタイトでなければならない理由
わずか1か月間で40%の大暴落を記録したとはいえ、現時点では、依然として売り圧力は残っていると考えられます。ロングポジションを取るにあたり、小ロットのエントリーかつタイトな逆指値が求められる理由を列挙します。
ボリンジャーバンド2σ, 3σ
わずか1か月で40%というスピード調整が現在進行形で進んではいますが、ボリンジャーバンド3σのレンジ内に収まっています。このことから、現在の株価が必ずしも売られ過ぎの水準にあるとは言えないということが分かります。またこの短期間に非常に激しい暴落をしたことから、バンドの枠が拡張されました。これは、今後、激しい乱高下する展開も、場合によっては暴落の第二波が襲い掛かる展開も、可能性としては考えられることを意味します。
積み上がる信用買い残
信用倍率を見てみます。個人投資家の間で有名な銘柄に投資する際は、必ず信用倍率を確認し、信用買い残が危険な水準まで積み上がっていないことを確認しましょう。
日本経済新聞公式webサイトより引用
本稿執筆時点で、信用倍率は38倍となっています。この値は、高すぎるというよりも、今や「よくある」値であると私は捉えます。株価が上昇し始めた2月初旬から信用買い残は上昇傾向となり、今回の大暴落が始まった後もさらに大きく上昇しました。信用残高の推移から、下記のようなストーリーがありありと想像できます。
株価が急上昇したので、多くの個人投資家がこの銘柄を信用買いした。
彼らは含み益を得たが、逆指値もかけずにぼんやりしていた。
決算を跨いでみると、株価は大暴落し、逆に含み損を抱えてしまった。
慌ててナンピンしたり、押し目であると勘違いして安易に信用買いする個人投資家が続出した。
しかし、みんな仲良く大きな含み損を抱えて、青ざめている←今ここ
今後株価が上昇に転じたとしても、上記のような投資家のヤレヤレ売りが相次ぐと予想されます。すぐに直近高値を奪還するというようなシナリオになる可能性は極めて低く、軟調に推移する展開が予想されます。
余談ですが、2021年4月第一週に17,000株ものショートポジションを立てている猛者がいます。この方は一時的に1,200万円ほどの含み損を抱えましたが、ガチホを続け、現在は2,000万円ほどの含み益となっています。とんだ金持ちがいたものです。
まとめ
・今のラインから打診買いはあり(小ロット、速やかな損切が前提)
・現在の株価は決して売られ過ぎな水準とは言えない(売枯れではない)
・信用買い残が積み上がっており、反転したとしても上値は重い
・どちらのポジションを立てるにしても、速やかな損切・利確がマスト